SR500の思い出(2)高速道路走行

SRについて体験したことと考えたことを書いてみることにした2回目の今回は、SRの苦手な分野であると考えられる高速道路走行について。

(1回目の排気量とキックスタートについてはこちら)

SRを褒めまくる内容ではないのでSR400をこれから購入する人の後押しになるかは分からないが、SRに興味がある人に何らかのヒントになればと思うのですが、専門的な知識が皆無なバイク好きの話ですので気楽に読んで頂けたらうれしいです。

まずは簡単な考察。続いて体験談となっております。



◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇

SRが高速走行に向いていないと私が考える理由は次の3点が大きい。

1、単気筒エンジン
2、カウル(風防)が無い
3、ポジション(乗車姿勢)

単気筒エンジンとしては大き目な排気量のSR。そのエンジンの一番の魅力は古臭さといえる。つまりそれは振動・鼓動感であり、なめらかできれいな加速や利便性といったものの対極にあるものだ。ぶっちゃけスピードを出すのには適していない。

またバイクに乗ったことが無い人はイメージが難しいかもしれないが、高速走行におけるカウル・いわゆる風防の効果は絶大。車で考えるとわかりやすいが、高速走行中に窓を開けて手を外に出すことをイメージして欲しい。手を後ろに持って行かれる感じと、もし万が一何かに当たってしまったら危ないという不安感が湧くと思う。カウルがないということはそういうことである。

そしてカウル・風防がないことに加えて、いやそれが無いからこそ重要なのがポジション。スピードを出せば出すほど空気抵抗をうけることを物理の教科書的に説明することは簡単なこと(ウソ)なのでここでは割愛させて頂くが、まあ何となく分かって頂けると思う。その強烈な空気抵抗に抵抗しようとすると(ダジャレだ)自然と上体を低くして、前方からの風をなるべく受けないような姿勢になる。つまりバイクのレースで見るような姿勢が最適であることが実感出来る。そしてそのようなポジションのバイクで無いことは、SRに魅力を感じるあなたのご存じの通りだ。

そしてこれは私の乗っていたSRに関する話となってしまうが、やはり古い年式(1983年式)のバイクはそれだけで高速走行に不利なのはご想像頂けるであろう。

以上、私がSRが高速走行に向いていないと考える理由でありました。当たり前すぎるポイントかもしれませんがだからこそ同意してくれる人も多いと思います。

それでは続きまして高速道路走行の体験談。ようやく、はじまりはじまり。

◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇

SRのキックスタートにも慣れてくるとやはり遠出がしたくなる。今のコロナ禍と違い昔は県外への移動は自由であったが、移動の自由はあれども時間の自由はさほどない。家族のいる身には1日、せいぜい朝早くから夕方くらいまでが自由時間の限界である。

すると必然的に高速道路を使用しての移動となるのだが、中古で購入した1983年製の愛車には不安もある。しかし高速道路を使うだけのことでありレースに出るわけではなく、いうなれば高速走行というよりも高速道路走行が可能であれば良いのだ。軽トラックだって走っている。思いつく中で最弱のライバルに負けないをイメージして不安を忘れ、楽しみだけを持って片道百数十㎞の高速道路走行へ。

もちろんETCなどという高級装備などないので料金所ではチケットを取る必要がある。実はこれが最初の緊張ポイント。バイクであれば致し方ないことだが、どうしても車と比べて時間がかかる。そしてSRはエンストするともれなくキックスタートの儀式が付いてくる。慎重な停車と、グローブ(手袋)をはめたままでのスムーズなチケットの収納、安全な再発進が求められる。

それらを全てぎこちなくではあってもクリアすればいよいよ高速道路。例のぐるぐる回る道路を曲がり切り、思い切り加速して本線へ合流。ここでの加速は気分が上がる。一般道では出すことの出来ないスピードと加速が爽快。

まずは走行車線を法定速度よりも少し遅いくらいで巡行。道路脇に目をやれば鯉のぼりのような吹き流しは垂れ下がっており、ほとんど風は無いようだ。

法定速度を下回る速度の為、他の車に追い越されるがもちろん全く気にしない。高速道路の良さは走行車線と追い越し車線があること。

慣れてきたところで徐々にスピードを上げて法定速度へ。大きな問題ではないが手と体に伝わる振動はそれなりのものがある。

ここで予定外のライバルが前方に見えた。大型トラックだ。別に急いでいるわけではないが前方の視界が塞がれているのも気分が良くないので追い越しにかかる。バックミラーで後方を確認してウインカーを出し目視でも確認して追い越し車線へ。

一瞬ギアを落とすか悩んだが5速のまま加速してみる。振動は増してしまうが追い越しには十分な加速。ただしバックミラーは振動でかなりブレるのと、速度を上げるとやはり風圧がつらい。

およそ100㎞ほど走りサービスエリアで休憩をとる。平日の昼間なので空いていたが、これが休日になるとバイク用の駐車スペースは一杯になるのかもしれない。

軽く体をストレッチしてみた。振動による手のしびれ以外は特に違和感はない。一般道と違いクラッチ操作もほとんどないために握力にも余力がある。疲れも感じていないので休憩もそこそこに走り出す。

先ほどよりも少し速度を上げて走行してみたが、SRの性能的には問題無い。性能よりも風圧・空気抵抗が大きくなり、振動と疲労が増してしまうことの方が問題になりそうだ。

いよいよ目的地付近のインターチェンジに近づく。料金所でお金を払うコツはただ一つ。『決して焦らないこと』を自分に言い聞かせてクリア。

一般道をしばらく走り目的地に到着した。慎重にSRを駐車スペースに入れてエンジンを停止。左足でサイドスタンドをしっかりと出してから降りてヘルメットとグローブを外す。心地よいといえる疲労感が漂う。やはりバイクでの遠出は冒険感があってよいものだ。

そしてSRの左側にいた私はヘルメットホルダーにヘルメットをかけようとしたが、車体の後部に有るはずのホルダーが見つからない。あれ?逆側だっけ?右側に回り込んでみるがない。

そうだよな右側のはずはない。左側に戻って落ち着いてヘルメットホルダーがここにあるはずだという場所を見ると、脱落した形跡が確認出来た。

しばし茫然。

実はこの中古で手に入れたSRは一人乗り用にカスタムされており、それを二人乗り用に戻して貰った。つまりヘルメットホルダーも純正の品・位置ではなかった可能性が高い。帰ったらバイク屋さんに笑顔で交渉に行くことにしようと心に決めて、気を取り直してヘルメットを持ったまま散策へと出かけた。

◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇

健全な散策を十分に堪能し、帰宅の途に就く。

贅沢をいえば往路と復路で走行ルートを変えて走れると良いのだが、残念ながら遠回り以外の道はなく、高速道路も我が家に通じているのは1本のみ。時間に限りもあるので来た道を素直に戻る。

帰りの高速道路は吹き流しがなびいていた。おそらく車であれば気にも留めない風力だが、バイクでは気になる。特に横からくる風は嫌なものだ。

さて高速道路走行を振り返ってみると、SRの性能的には時速100㎞を超える速度での巡行も可能のようだ。しかしやはり風圧・空気抵抗は大きくなり振動と疲労も増してしまうし法定速度を超えてしまう。

具体的な速度でいえば時速80~90㎞くらいが走りやすいと感じた。

法定速度内でのんびり巡行して、遅い車に詰まったら気持ちよく加速して追い抜く。そんな乗り方が良さそうである。つまり一人でマイペースで高速道路を走るにはSRは全く問題ないことがわかった。

そんなこんなでSRでも高速道路走行は楽しく、無事に家に到着することが出来たのです。そして帰宅後のささやかな楽しみとしてバイクカバーをかけるまで愛車を見て楽しむことが挙げられますが、ここで二回目の茫然自失。

左斜め後方からみた愛車は確かにカッコいいと思える見た目であったが、あるべきはずの左後ろのウインカーはどこかにいってしまっていた。


kuruma

フォローよろしくお願いします!