家に欲しい絵本⑪ ~コんガらガっち どっちにすすむ? の本~
kurumaがお届けします「家に欲しい絵本」企画の第11回目は
★コんガらガっち どっちにすすむ? の本
をご紹介させて頂きます。
作者は「ユーフラテス」さん。
企画「貝塚 智子」さん「うえ田 みお」さん。
絵「うえ田 みお」さん。
監修「佐藤 雅彦」さん「うちの ますみ」さん。
装丁「貝塚 智子」さん。
発行所は「小学館」です。
今回の絵本は、良い意味で、私の読む前の予想を、大きく裏切ってくれた絵本。すこし大げさかもしれませんが、私の固定観念をぶち壊してくれた一冊です。
ストーリー
この絵本には3つのおはなしがあります。
そして、お話しの主人公は表紙に描かれている、『いぐら』です。まずは、いぐらの自己紹介から始まります。
おれ、いぐら!
いるか と もぐら が
こんがらがって できた せいぶつ。
よろしくー。
1話目
「いぐら、たらすの いえに あそびに いく」の まき
いぐらは仲良しの『たらす』の家に遊びに行くところです。
たらすの いえに いく
みちは 2しゅるい あります。
いぐらは すきな みちを
えらんで すすみます。
さあ、ここからは絵本を読んでいるあなたが、いぐらの進む道を選んで、お話しを進めていきます。
さて、あなたの選んだ道で、どんなことが起きるかな?いくつの分かれ道があるのでしょう??いぐらは、たらすの家にたどり着けるのでしょうか!?
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2話目
「いぐら、おひるごはんを たべる!」の まき
お腹をすかせた、いぐらが、こんがら食堂にお昼を食べに来ました。
どんぶりの うえに
すきな おかずを
のせていこう!
さあ、また分かれ道のはじまりです。いぐらは、ごはんが入ったどんぶりを持っています。
さて、あなたはどのおかずを選びますか?どんなどんぶりが完成するのでしょう??いぐらは満足できるかな!?
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3話目
「いぐら、みちに まよったぞ! さあ たいへん!」の まき
いぐら、きょうは
さんぽの とちゅう、
みちに まよって
しまったようです。
さあ、今度はどんどん道をたどっていきましょう。
さてさて、ここはどこ?この道はどこにつながっている??いぐらは、家に帰ることが出来るのでしょうか!?
見どころ・読みどころ
この絵本は「良い意味で、私の読む前の予想を、大きく裏切ってくれた絵本」です。また、前回の記事で
さて次回は、私の苦手なジャンルの「これはどの順番で読めばいいんだ~?」という絵本から、子供たちが間違いなくおおよろこびする作品を、ご紹介してみたいと思います。
とお伝えしました。
そう、私は読む順番が分かりづらいのは苦手です。そして私の予想とは、
「はいはい、どうせ分かれ道で別々の話が進むんでしょ。こういうタイプの絵本は、読みづらいから苦手なんだよなぁ。つまんないし。」
というもの。お恥ずかしい話なのですが、表紙を見ただけで、かなり失礼な予想をたててしまいました(汗)。
そして、実際に子供と一緒に読んでみて、見事に固定観念をぶち壊されました。
私の固定観念が壊された理由はいくつかあるのですが、一番は、とにかく「面白い!」につきます。
そして、分かれ道(分岐)がいくつもあるのに読みやすいのです。
通常、分岐があるタイプのお話しは、ハッピーエンドとバットエンドが用意されており、その派生のエンディングがある事が予想されますよね?しかしこの絵本は、それが無く、分岐の選択に正解・不正解が存在しません。どの道を通っても、どの道を通らなくても、楽しめてしまうのです。
これはかなり凄いことだと思います。
この様に分岐するお話しは、選んだ道と違う道の情報が見えると、イヤなものです。「あ、あっちを選べば良かった」とか「あ、まだ見たくなかった」とか。それが、この絵本には全くありません。この為に、初めて読んでも楽しく、繰り返し読んでも楽しいという素晴らしさ。
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絵は、いぐらの、ちょっと手抜き感すら感じられるほどの、とぼけた雰囲気がとても良い感じです。
そしてその雰囲気とは裏腹に、分岐のタイミングや、絵の置かれている場所、文字のフォントや置き場所、などなど、ありとあらゆるものが、しっかりとじっくりと考えられ、計算された上で完璧にデザインされて、配置されている様に感じられます。
もちろん、いぐらの「手抜き感」もきっと計算通り。
ちょっと変な表現かもしれませんが、文系ではなく、理系な絵本だと思います。
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この絵本の見どころ・読みどころは、どこか一つのポイントを指して、「◯◯◯です」と言うことが出来ません。分岐や参加型といった特徴が、言わせてくれません。
つまり逆に言うと、この絵本は全部が見どころ・読みどころであるとも言えます。そして、見る・読むにプラスし、「参加して」とにかく楽しむ絵本ですね。
作者(達)について
作者は「ユーフラテス」さん。
ご存じのかたも多いと思いますが、ユーフラテスは個人名ではありません。佐藤雅彦さんと、慶応義塾大学の佐藤雅彦研究室の卒業生を母体とした、クリエイティブ・グループです。
そう、子育て世代なら皆さん大好きな、Eテレの「ピタゴラスイッチ」や「0655」「2355」などの製作に携わっていることでも有名です。
そして「コんガらガっち」シリーズは、「貝塚 智子」さんと「うえ田 みお」さんが担当。
貝塚さんは、ピタゴラスイッチの番組ロゴなどのアートディレクションをはじめ、番組やコーナーの企画・作成・監修。そして書籍の装丁やデザインもされており、今回の絵本の装丁も、貝塚さんが担当です。
うえ田さんは、「フレーミー」「10本アニメ「ぼてじん」のアニメーションや、他のコーナーや番組の企画・作成・監修など。そして、「コんガらガっち」のデザインも、うえ田さんが担当です。
このお二人がタッグを組んで、作り上げていった企画であり、絵本です。
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そして、普通の絵本にはない特徴が、ここに監修が入ることです。しかもこちらも豪華なお二人。
まず「うちの ますみ」さん。ピタゴラスイッチでは、番組の企画・監修、「百科おじさん・ピタとゴラ・スー」などのキャラクターデザインや、歌の作詞も手掛けられております。そして、佐藤雅彦さんが原案の「もぐらバス」(偕成社)の絵と文の担当者でもあります。
ちなみに、うちのさん・佐藤さん、そして堀江由朗さんのトリオが世に放った名曲が「だんご3兄弟」であります。
さて、大トリでのご紹介は、まさにユーフラテスの生みの親と言ってよろしいのではないでしょうか?「佐藤 雅彦」さん。
1999年から2005年まで慶應義塾大学環境情報学部教授に。このときに佐藤雅彦研究室の活動として、「ピタゴラスイッチ」を監修。2006年より、東京藝術大学大学院映像研究科教授。著書は「新しい分かり方」(中央公論新社)など多数。映画の脚本・監督もされ、13年に紫綬褒章を受章。
これにさかのぼりまして、佐藤さんは1977年から1994年に独立されるまで、「株式会社電通」にお勤めされており、数多くのCMを手掛けられました。
そして、この時のCMが日本人の「面白い映像」に対する感性に与えた影響は、計り知れないものがあると思います。それほど圧倒的に面白く印象に残るCM達ばかりです。
では、ほんの一例として、動画のリンクを貼っておきますね。
https://www.youtube.com/channel/UCZVghxinPo5y8Vpt3tWa-8g
koikeya
NEC バザールでござーる
https://www.youtube.com/user/hisanohisanohisano
サントリー ピコー
サントリー モルツ
hisanohisanohisano
佐藤さんの登場以前と以降で、CM・ショートムービーに対する世間の考え方が、変わってしまったのではないでしょうか?
つまり、この時代を過ごしてきた私と同世代位のパパさん・ママさん達が、「ピタゴラスイッチ」や「0655」「2355」を「面白い・好き」と感じてしまうのは、とても自然であり、それが子供たちへとつながっています。
う~ん。佐藤さん恐るべし(笑)。
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そんな、4人が携わっている今回の絵本。
絵本の楽しさに、「ピタゴラスイッチ」や「0655」「2355」の楽しさが、こんがらがっている絵本であります。
コんガらガっちについて
コんガらガっちとは、
ユーフラテスが、新しく取り組もうと考えていた「絵本の作成」と「新しい考え方のキャラクター開発」。そこに、明治製菓さんからの「サイコロキャラメル80周年特別バージョンのパッケージデザイン依頼」により、生まれたキャラクター。
12種類の動物の上半身と下半身を組み合わせて出来るので、全部でなんと144種類!
いろんな動物がこんがらがっています。
ちなみに、『たらす』は「たこ」と「からす」。クッキーを焼くのが趣味のようです。
まとめ
「家に欲しい絵本」企画の第11回目として、
★コんガらガっち どっちにすすむ? の本
をご紹介させて頂きました。
絵本の最後の方には「おれたち、コんガらガっち!」というページがあり、絵本に出てくるコんガらガっちたちの紹介があります。一つずつ確認しながら見たり、絵を見て名前を考えたり、何と何がこんがらがっているのかクイズしたりと、本当に最後まで楽しめる絵本です。
そして、コんガらガっちは、シリーズになっており、5冊のシリーズ累計は100万部超!関連の本もありますので、試し読みをしてみたいかたは、下記の「絵本ナビ」がおすすめです。リンクを貼っておきますね。
それでは最後に、この絵本の魅力をもう一つだけ。
表紙と裏表紙の絵が続いているのが、楽しいのです。そして、他にも!?
ここまでお読み頂きありがとうございました。あなたの、絵本選びの参考になりましたら幸いです。
さて次回は、そろそろ絵本の読み聞かせを、卒業してしまうかな?と、いうタイミングにおすすめな一冊をご紹介してみたいと思います。
以上、kurumaがお伝えしました。
蛇足
うちの末っ子は、2話目
「いぐら、おひるごはんを たべる!」のまきが、お気に入りです。
そこで、ある日のご飯で、こんなどんぶりを一緒に作ってみました。
お子様と一緒に、楽しいどんぶりを作ってみるのもおすすめです!
kuruma